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SEOとハブページとナビゲーショナルクエリ

SEOとハブページとナビゲーショナルクエリ
インターネットを使って調べものをしていると、たまに「ハブページ」と呼ばれるタイプのページに出会うことがあります。たとえば「SEOに役立つツールまとめ」とか「プログラミング学習のリンク集」といった形で、いろいろな外部サイトへのリンクを整理して紹介しているページのことですね。うまく作られているハブページは、ユーザーにとって非常に便利で、知りたい情報に素早くたどり着ける導線を作ってくれます。しかし一方で、ただ外部リンクを並べただけの「無価値な寄せ集めページ」も少なくありません。この二つは一見似ているようで、中身をよく見ると本質的な違いがあります。

本来のハブページの価値は、ユーザーが情報の海で迷わないように「羅針盤」のような役割を果たすことにあります。世の中には膨大なコンテンツが存在し、同じテーマでも質の高い情報とそうでない情報が混在しています。そこで信頼できる運営者がテーマを整理し、適切な情報を結び付けることで、ユーザーは効率的に知識を得られるのです。たとえば「中小企業向けのホームページ制作ノウハウ」をテーマにしたハブページであれば、制作会社の比較記事、SEOの基礎知識、実際の成功事例、さらに関連する補助金制度など、ユーザーにとって実用的な情報を体系的に案内できます。単なるリンクではなく、なぜその情報が役立つのか、どんな状況で参考にすべきかといった解説を添えることで、利用者はリンク先を見る前からある程度の理解を得られます。

ところが、外部リンクの寄せ集めだけのページは、この「羅針盤」としての役割を果たしていません。具体的な文脈や解説がなく、ただ「役立ちそうなサイト一覧」として並べられているだけのものは、ユーザーからすると検索エンジンの結果をもう一度リスト化しただけに見えてしまいます。そうなると、利用者は「このページを経由する意味はなかった」と感じますし、検索エンジン側からも「独自性や付加価値がない」と判断され、評価が上がらないどころか順位を下げられるリスクすらあります。つまり、ハブページを名乗りながら本質的にはただのリンク集に過ぎないものは、SEO的にもユーザー体験的にも無価値になってしまうのです。

本質的に価値あるハブページを作るには、情報を単に集めるのではなく「つなぎ合わせる力」が重要です。これはキュレーションとも似ていますが、単なる引用ではなく、情報の背景や文脈を理解して整理し直すことが必要になります。ユーザーが「このテーマを理解したいなら、まずここを見れば全体像がつかめる」と思えるような構造にすることが理想です。そのためには、リンク先の紹介文をオリジナルで書くことや、比較やランキングの形で整理すること、あるいは補足的な図解や事例を入れることが効果的です。これにより、ユーザーはリンク先を開く前に概要をつかみ、自分に必要な情報かどうかを判断できるようになります。


検索エンジンの世界では、ユーザーがどんな意図を持って検索しているかを理解することがとても重要です。その中でも「ナビゲーショナルクエリ」という言葉はよく出てきます。これは、ユーザーがある特定のサイトやサービスにたどり着くために検索をしているケースを指すものです。例えば「Facebook ログイン」「楽天市場」「ANA 予約」といった検索が典型的です。ユーザーは情報を探しているというよりも、すでに目的の場所が頭の中にあり、そこに最短距離でアクセスするために検索エンジンを使っています。

つまりナビゲーショナルクエリは、目的地が明確に決まっている「案内板を探す」ような検索です。検索結果の1位にその公式サイトやサービスが表示されなければユーザーは混乱してしまいますし、検索エンジン側もユーザー体験を損なうことになります。そのためGoogleなどの検索エンジンは、このタイプのクエリに対しては公式サイトやブランドの正規ページを優先的に表示させる傾向があります。

SEOの観点で考えると、ナビゲーショナルクエリで勝負するのは難しいです。なぜならユーザーは特定のブランドやサイトを求めているからで、第三者のコンテンツが入り込む余地はほとんどないからです。たとえば「Apple 公式」と検索したときに、どんなにSEOを工夫しても公式サイト以外のページが上位に出る可能性は限りなく低いのです。そのため企業や店舗がこの領域でやるべきことは「自社のブランド名やサービス名で確実に検索結果のトップに表示されるようにする」ことです。公式サイトを適切に検索エンジンに認識させ、ブランド名や社名で検索したときにしっかりと表示されるようにすることが何よりも重要になります。

一方で、ナビゲーショナルクエリはブランド認知度の高さを示すシグナルでもあります。多くの人が自社名やサービス名を検索するということは、それだけユーザーの頭の中に存在感があるということだからです。そのため、マーケティング的には「どれくらい自社に関するナビゲーショナルクエリが発生しているか」を把握することで、ブランド力を測るひとつの指標にもなります。

ナビゲーショナルクエリは「ユーザーが行きたい場所をすでに決めている検索」です。SEOの直接的な競合領域ではありませんが、ブランドの信頼性や公式サイトの表示状況を確認する上で非常に重要な要素になります。

ハブページは「一次情報へのゲートウェイ」としての役割も持っています。たとえば学術的なテーマや法律関係のように、専門性の高い分野では一次情報そのものを正しく理解するのは難しい場合があります。そこでハブページが専門用語をかみ砕いて説明し、関連する一次情報へのリンクを案内することで、初心者にもアクセスしやすくなります。逆にただ外部リンクを羅列するだけでは、初心者はどれが重要なのか判断できず、結局また迷子になってしまいます。つまり、ハブページの本質的な価値は「情報を意味づけて案内すること」にあるといえるでしょう。

実際にSEOの現場でも、ハブページは内部リンク戦略の要として活用されています。関連するコンテンツ群を一つのハブページからつなぐことで、検索エンジンはサイト全体の構造を理解しやすくなり、トピッククラスターの形成につながります。このとき重要なのは、単に内部リンクを網羅するだけではなく、ユーザー目線で「どの順番で読めば理解が深まるか」を考えて配置することです。これができていれば、ハブページは検索エンジンにも評価され、自然と被リンクを集めやすくなります。逆に外部リンクをただ集めただけのページでは、このような内部構造の強化にはつながりません。

結局のところ、価値あるハブページを作れるかどうかは「ユーザーの体験を第一に考えられるか」にかかっています。もしページを見て「自分ならわざわざこのページを経由するだろうか?」と疑問を持つなら、それはハブページの体を成していないのかもしれません。情報が氾濫する時代だからこそ、ただ寄せ集めるだけでは意味がなく、整理・解説・案内という三つの役割を担ってこそハブページとして成立するのです。
ハブページ・ナビゲーショナルクエリとSEOの闇 表面的な「上位表示」が意図するもの

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